南海の楽園に伝わる魅惑の深島みそ

大分県・蒲江港から8km先の沖合いにある「深島」は、猫と珊瑚が出迎えてくれる大分県最南端の島。スキューバダイビングや磯釣りのスポットとしても人気だ。島民は約20名、猫のほうがはるかに多く「猫の島」としても知られる。島では「深島みそ」が古くからつくられ、地元民の健康を支えてきた。人々を魅了する「深島みそ」をクローズアップ。

「深島みそ」誕生の由来は不明だが、昔から深島では米ができず麦を栽培していた。そのため大豆や米の代わりに、麦を主原料としてみそをつくっていたのではと伝えられている。家庭によってつくり方は若干異なるが、麦麹をふんだんに使った白系の麦みそが主流の味。「手前みそ」の文化が脈々と根付いている。魚介類が豊富な深島では、だしは使用せず、採れたての海藻や貝、魚などをたっぷり入れたみそ汁が島の味だ。

この深島みそを後世に残していこうと約20年前、「深島婦人部」が各家庭の製造方法や味を研究し、新たに商品として販売を開始した。しかし、すべて手作業のため、力仕事が多いみそ仕込み。メンバーの高齢化によって製造が困難になってしまったため、深島婦人部代表の安部ヒサヨさんの孫、安部達也さんが深島みその伝統を受け継ぐことになった。

安部達也さんは、3歳から小学校2年生まで深島で過ごした。父親の仕事の関係で3年生からは蒲江に行ったが、小・中学生時代は休みのたびに祖父母が暮らす深島へ渡り、祖父の漁などを手伝っていたという。高校卒業後は、福岡県で約10年間土木関係の仕事に従事。2008年に大分に戻り、就職したが、深島婦人部が高齢化を理由にみそづくりを辞めることを聞き、「深島みそ」を受け継ぐことを決意。「でぃーぷまりん」を設立し、深島みその製造販売を開始した。現在、「深島みそ」を製造するのは、同社のみ。

「原料はオール九州産、昔ながらの手づくり製法にこだわっています。大好きなこの地で祖母たちがつくりあげてきた深島のみそを、これからも大切につないでいきたい。特に若い方々には、新しいみその楽しみ方を伝えていきたいです」と語る。

深島みその製造工程

①麦を洗い、かまどで蒸したあと、むしろの上で麦を冷まし、種麹を混ぜ合わせる。温度が大切で、冷まし具合は長年の感覚。その時々の気候や状態で調整する。種麹を混ぜたら、麹蓋に詰め2日間寝かせる。

②1日目に仕込んだ麦の温度管理を続ける。3日目に使用する大豆を洗い、水に浸ける。

③大豆は炊いてミンチ機にかけてすり潰す。米も水に浸けて炊く。麦麹と米、大豆、塩を混ぜて容器に仕込む。その後は時々混ぜたり、様子を見たりしながら、約3か月間寝かせて完成。


安部達也さん、あづみさん、ことみちゃん(1歳)、さくみちゃん(0歳)

 

でぃーぷまりん
大分県佐伯市蒲江大字蒲江浦 深島
TEL080-5289-2280

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

藤本智子

【MISODO(藤本智子)】株式会社ミソド代表取締役、一般社団法人みそまる普及委員会理事、月刊「ジャパン味噌プレス」編集長、みそソムリエ。アパレル販売員、読者モデル等を経て、2011年「ミソガール」として味噌の普及活動を開始。みそまる考案。ミラノ万博や伊勢志摩サミット等イベントやメディア出演を通し、味噌の魅力を伝えている(2019年MISODOに改名)。著書に『みそまる』(宝島社)、『みそまる 作りおきみそ汁83のレシピ&アイデア』(二見書房)、『手軽に作れて、キレイに効く! みそまる』(主婦と生活社)等。 ※WEB版に掲載している記事は、取材当時の情報です。現在と内容が変わっている可能性がございます。