【味噌人】マルイエ醤油川根本家 四代目女将 村松桂子さん

村松桂子さん

\THE味噌人/

みそを愛し、みそ業界をリードする「ザ・味噌人」。
みそメーカーや関連企業、料理人など、
さまざまな業界の「ヒト」を取り上げます。

店

私は彼氏、お客様は彼女 笑顔を一番大切に。
マルイエ醤油川根本家 四代目女将 村松桂子さん

 

静岡県島田市にある老舗みそ・醤油メーカー「マルイエ醤油川根本家」(以下、マルイエ)。
歴史の風格が漂う店の雰囲気が人気を呼び、市内外のお客様はもちろん、
外国人にも人気の観光スポットとなっている。
艶やかな和装で出迎えてくれる名物女将の桂子さん。
女性ファンも多いという、その魅力に迫りました。
(聞き手/ ミソガール・藤本智子)

 

◆◆◆マルイエ醤油川根本家のことを教えてください。◆◆◆

明治43(1909)年の創業より受け継がれた伝統製法で、みそ・醤油をつくり続ける醸造元です。大豆は北海道産、米は地元、島田市川根町産を使用し、大井川の清水で仕込みます。100 年以上使い続ける二十石の杉桶が命。職人の手によって丁寧に仕込まれ、約1 年、味が満ち、香りの華が咲くまで静かに見守ります。毎朝スタッフ全員で植物や備品一つひとつを大切に扱いながら清掃をし、お客様を迎えるための準備を整えます。この所作でスタッフも皆爽やかな気持ちになります。

 

◆◆◆醸造元へ嫁いだ当時の気持ちは?◆◆◆

28 歳でマルイエに嫁ぎましたが、当時は全く縁のない業界でしたので、「誰かがやってくれるだろう」とどこか他人事。ところが、マルイエが受け継いできた伝統や積み上げてきた信頼の重みを次第に実感し、責任を果たさなければならないと一念発起。そこから、三代目と四代目の指導のもと、みそ醤油製造の勉強を始めました。一筋縄ではいかないみそづくりですが、その分わが子のように愛情はどんどん深まり、今では、製造、店頭接客、広報などあらゆることを兼任し、充実した毎日を送っています。

 

◆◆◆印象的だったエピソードを教えてください。◆◆◆

意外といわれますが、結婚当初から夫婦でバイクに乗ることが趣味です。休日のツーリングが仕事の原動力になっています。あるときバイク仲間に仕事を聞かれたので、「川根でみそと醤油をつくっています」と話したことがありました。後日、たくさんのバイカーさんを連れマルイエへ。その方々は丁寧にブログを書いてくれ、それを読んだ方がまたお越しくださったのです。「けいこのおみそ」のラベルをラミネートし、交通安全のお守り代わりに持っていてくれたのには、感激でした。

 

◆◆◆大切にしていることは?◆◆◆

お客様の「今」という時間を大切にしています。たとえるなら、「私が彼氏で、お客様が彼女」。彼氏が彼女を喜ばせるように感謝の気持ちを込めて…。商品を買って終わりではなく、心までも満たされるような空間でありたい。また店頭の片隅には、「駄菓子コーナー」があり、子どもたちは自分で代金を計算し貯金箱へ入れます。子どもたちが大きくなったときに、マルイエを思い出してくれたらうれしいです。

 

◆◆◆新商品「けいこのおみそ」とは?◆◆◆

出身地の鹿児島では、甘口の麦みそが主流で、残念ながら両親の口にはマルイエの商品が合わなかったのです。ならばつくろうと、父が生産したお米を麹にし、みそをつくることに。試行錯誤を重ねて、できたのが「けいこのおみそ」。パッケージは花嫁の白無垢をイメージ。両親は「おいしい!」と喜んで食べてくれました。ほんのり甘い麦の風味が加わり、常連のお客様にも好評です。

 

◆◆◆夢を教えてください。◆◆◆

「一日一麹」を基本に、すべての女性を健康的で心身豊かにすること。発酵食品には、それくらいのパワーが秘められていると確信しています。みそは言葉を発しないから、私が代わりに伝えていきます。いつか女性たちが集い、発酵食で癒される場所もつくれたらいいですね。そして、娘2人が、将来、マルイエを継ぎたいと思えるように基盤をつくっていくことが私の使命。一生かけて支えていきます。

 

けいこのおみそ
「けいこのおみそ」1kg、1296 円(税込)

 

【プロフィール(むらまつけいこ)】

1971 年生まれ、鹿児島県出身。20 歳のときに静岡へ。
1999 年にマルイエ醤油川根本家に嫁ぐ。
2児の母。現在、四代目女将として切り盛りする。

 

【マルイエ醤油川根本家】

静岡県島田市川根町家山796 TEL0547-53-2212
http://www.maruie-shouyu.com/

 

Keiko Muramatsu, the wife of the president of Maruie,
a long established miso and soy sauce manufacturer,
manages various aspects of the company’s operations and
puts great importance on customer service.

 

2ショット

—–取材を終えて—–

華やかな着物姿、凛とした雰囲気の桂子さんですが、
男前な一面もあり「カッコイイ!」と私もファン入り宣言。
たくさんやりたいことはあるけれど、
「できることを着実に」という誠実さも印象的でした。

 

〈INTERVIEWER〉
藤本智子 Tomoko Fujimoto
ジャパン味噌プレス編集長、ミソガール

 

ABOUTこの記事をかいた人

藤本智子

藤本智子(ふじもとともこ) 1985 年生まれ、横浜市在住。アパレル販売員、読者モデル、ファッション雑貨店マネージャーを経て、2011 年ミソガールとして「365 日味噌活宣言」をし、みその普及啓蒙活動を開始。2012年「みそソムリエ」取得。2014 年「ジャパン味噌プレス」創刊。2015年「ミラノ国際博覧会日本館サポーター」「朱鷺米応援大使2015」(佐渡市)に就任。著書に『みそまる』(宝島社)、『みそまる 作りおきみそ汁83のレシピ&アイデア』(二見書房)、『手軽に作れて、キレイに効く! みそまる』(主婦と生活社)等がある。2016 年より「中央情報専門学校」非常勤講師。2016年10月株式会社ミソド設立、代表取締役。一般社団法人みそまる普及委員会 理事。