【味噌人】静岡県立藤枝北高等学校 教諭 西尾眞一さん

西尾眞一さん

\THE味噌人/

みそを愛し、みそ業界をリードする「ザ・味噌人」。
みそメーカーや関連企業、料理人など、
さまざまな業界の「ヒト」を取り上げます。

 

生徒
食品サイエンス部の生徒

 

天然糀菌が地域をつなげる「米の花を紡ぐ物語」
静岡県立藤枝北高等学校 教諭 西尾眞一さん

 

静岡県の中央に位置する藤枝市は、
豊かな自然に恵まれた歴史と文化が溢れるまち。
ここにはかつて800 人もの蔵人がいて、
現在も6 軒の酒蔵が残るという、全国屈指の発酵のまち。
静岡県立藤枝北高等学校の西尾眞一先生率いる食品サイエンス部では、
4 年前より「天然糀菌」を活用した研究や商品開発などをスタート。
今やその活動は、まちぐるみの取り組みにもなっている。
(聞き手/ ミソガール・藤本智子)

 

◆◆◆普段はどんな活動を行っていますか。◆◆◆

「食品サイエンス部」の顧問を担当しています。4 年前から「発酵」をテーマに活動し、現在の部員は6 名。
稲穂から「天然糀菌」を採取し、地元産の米と大豆、塩でみそを仕込んだり、地元企業と連携して高校生のアイデアを生かした商品を開発し、生産から販売までを一括して行ったり。また、地域の人々に幅広く関心を持ってもらおうと、糀菌の働きや効能について伝える「糀菌劇場」「発酵体験教室」「発酵食料理コンテスト」などを開催しています。

 

◆◆◆発酵への取り組みを始めたきっかけは?◆◆◆

もともと農学部出身で、食や農業について勉強してきましたが、2013 年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことも後押しとなり、高校生たちとともに、発酵文化を継承することで地域の活性化を目指せたらと、一念発起。最近では、藤枝北高生がコーディネートする観光プログラムも実施。県内外の人々が多く足を運び、地元の農・食・自然・歴史体験をしています。「出会って感動」「体験して感動」「食べて感動」を伝え、地域に貢献していきたいと考えています。

 

◆◆◆「天然糀菌」について教えてください。◆◆◆

糀は和食の味を決める発酵調味料の要。食べものをおいしくするばかりか、老化防止やガン予防、ダイエット、美容効果等が期待できます。一般的な商品には市販の「種麹」(糀菌の胞子を集めたもの)が使用され、自家採取する「天然糀菌」を使用する商品はほとんどありませんが、私たちは「天然糀菌」を使うことにこわだります。稲穂につく直径1cm にも満たない玉(稲いなだま霊)から糀菌を採取し、安全性を確認後、商品にします。また、地域ごとに生息する糀菌の性質が異なることから、それぞれの糀菌の力を調べたり、簡単に糀菌が培養できる方法なども研究したりします。

 

◆◆◆生徒の反応は?◆◆◆

はじめは何気なく入部した学生たちも、自分たちのアイデアや活動が、目に見えるかたちで広まっていくことが楽しいようで、徐々に変わっていきます。卒業後、商品開発や醸造関係の道に進む学生もいます。学生にとって何より大きいのが、人との出会いです。普段関わることのない、地域や企業の人と出会うことで、社会やコミュニケーションの大切さなど、多くのことを学んでいます。卒業式では、私も生徒も涙、涙。教師冥利に尽きます。

 

◆◆◆インターネットの「北高ストア」とは?◆◆◆

藤枝北高生がつくった農産物や食品、藤枝市(焼津市、牧之原市)の農産物などを、学生自身がバイヤーとなり、販売しているネットショップ(http://fuziedakita.sakura.ne.jp/)です。「生産者と消費者をつなげ、食べ物の本当の価値を伝える」がモットー。地域の自然や文化を継承することにつながり、学生たちも地域に役立つことで成長していきます。商品は、市内の協力店舗、楽天市場「藤枝アグリ」等でも購入可能(http://www.rakuten.co.jp/fujiedakyoritsu/)。

 

◆◆◆夢を教えてください。◆◆◆

発酵の力はまだまだ無限大。人がつながることによって、新しい可能性が生まれるだろうと確信しています。学生に夢を与えるとともに地域に貢献していくこと。各地域に昔ながらに息づく「天然糀菌」を活用したオンリーワンの商品開発を醸造業界に広めることで新風を巻き起こし、「天然糀菌」による6 次産業化の可能性を提案していきたいです。

 

米の花を紡ぐ物語「米の花を紡ぐ物語」
720ml、1296 円(税込)
(杉井酒造との連携)

酒粕味噌漬けの素 みつけもの
「酒粕味噌漬けの素 みつけもの」
275g、400 円(税込)
(ぴんす食品との連携)

 

【プロフィール(にしおしんいち)】
1967 年生まれ、東京農業大学出身。
2010 年より静岡県立藤枝北高等学校教諭。
5 年前から「食品サイエンス部」の顧問を担当。

 

Shinichi Nishio, a teacher at Fujiedakita High School in Shizuoka,
is in charge of the school’s Food Science Club where they work with natural koji molds.
Their activities have led to bolstering the local community.

 

—–取材を終えて—–

「すべては人とのつながり」という言葉が印象的でした。
発酵の世界に興味を持つ学生が増えることはうれしいことですが、
将来どんな道に進んだとしても、ここでの経験が、
必ず大きな力となっていくでしょう。

 

〈INTERVIEWER〉
藤本智子 Tomoko Fujimoto
ジャパン味噌プレス編集長、ミソガール

 

ABOUTこの記事をかいた人

藤本智子

藤本智子(ふじもとともこ) 1985 年生まれ、横浜市在住。アパレル販売員、読者モデル、ファッション雑貨店マネージャーを経て、2011 年ミソガールとして「365 日味噌活宣言」をし、みその普及啓蒙活動を開始。2012年「みそソムリエ」取得。2014 年「ジャパン味噌プレス」創刊。2015年「ミラノ国際博覧会日本館サポーター」「朱鷺米応援大使2015」(佐渡市)に就任。著書に『みそまる』(宝島社)、『みそまる 作りおきみそ汁83のレシピ&アイデア』(二見書房)、『手軽に作れて、キレイに効く! みそまる』(主婦と生活社)等がある。2016 年より「中央情報専門学校」非常勤講師。2016年10月株式会社ミソド設立、代表取締役。一般社団法人みそまる普及委員会 理事。