\みそ研究NEWS/
麹、熟成期間の違いで有効成分が異なる?
「みそは医者いらず」といわれているが、
特に発酵熟成が進んだみそには、胃がん、肺腺がん、大腸がんの抑制や脳卒中の抑制、
血圧を上げないこと、並びに放射線防御作用があることを、
広島大学名誉教授・渡邊敦光先生たちが実証してきた。
またみそには30%の減塩効果があり、みそ汁の摂取が血圧上昇を招かないことが、
疫学的、並びに実験的に報告されている。
詳しくは先生の著書『味噌力』(かんき出版)を参照。
さらに渡邊先生らは、みそ中のどの成分が作用しているのかを調べ、
2015 年秋にみそに含まれる血圧を下げる物質、
トラゾリン、エプレレノン、ピロカルピン、スタキドリンと
血糖値を下げるミグリトールを同定。
実験に使用したみそは、発酵期間の異なる宮坂醸造製の辛口米みそで、
効果が高かったのは半年以上熟成させたものだった。
発酵が進むにつれて有効成分が増加(但し中には5 年発酵で減少するものも)。
改めて、みその発酵熟成が大切であることが実証された。
今回は、麹の種類並びに発酵期間の異なるみその成分を解析。
使用したのは、信州みそ(A 社、B 社)、仙台みそ、豆みそ、麦みそ。
麹の違いによる有効成分は、量の違いはあるが、どのみそにも含まれていた。
特に、トラゾリンはA 社信州みそに、スタキドリン、ミグリトールはB 社信州みそに、
エプレレノンは豆みそに、ピロカルピンは仙台みそに多く含まれていた。
また、A 社のトラゾリンは熟成2 年までは増加するが、5年では減少することから、
有効成分は発酵が盛んな折に産生され、その後に減少すると考えられる。
さらにトラゾリンは、血管新生作用があるため、
B 社の熟成度の異なるみそを用い放射線による消化管の再生とその量について検討した結果、
良い相関があることから、この物質は放射線防御作用と関連している可能性が示唆された。
渡邊敦光著
「味噌力」/かんき出版
1300 円(税別)
Dr. Hiromitsu Watanabe and his collaborators analyzed
the differences in miso’s active ingredients
depending on the kind of koji and fermentation period.