ジュワッと炎で味噌が目覚める「BAKED MISO」

味噌田楽や焼き味噌おにぎりなど、味噌を焼いたり、炙ったりする料理が多いのは、先人たちも「BAKED MISO」のおいしさを知っていたから!

戦国武士は戦に行く際、携帯保存食として乾飯や、焼き味噌、梅干し、兵糧丸などを携行。徳川家康や織田信長、豊臣秀吉は、豆味噌でつくる「焼き味噌」をそのまま食べたり、お湯に溶かして飲んだりしていたそうです。天下への道を切り開いた武士たちの底力は、「焼き味噌」が大きなカギを握る?

肉や魚、スイーツも、炙るとおいしくなりますが、味噌も例外ではありません。さっと炙るだけで、たちまち香ばしさと「焦げ感」が加わり、一味違ったおいしさに。こんがり焼けた味噌が、私たちの食欲をたちまち倍増させます!

 

焼くのは直前がミソ

食品を焼いたときに生じる「焼き色」の多くは、主に糖とアミノ酸やタンパク質が反応して「メラノイジン」をつくりだす「アミノ・カルボニル反応(メイラード反応)」によるもの。仕込んだ味噌が時間とともに色が濃くなっていく反応と同じもので、基本的に温度が高いほど速やかに進行していくとされる。

そのままでもおいしい味噌だが、高温で焼くことで、香ばしい味が立ち上がるからおいしくなる。だから、焼き味噌は香りが命! 食べる直前に焼くのがおいしさを逃がさないコツだ。そして、味噌は焦げやすいので、うっかり丸焦げにならぬよう、最適な瞬間を見逃さないように!「焼き色」と「焦げ」との明確な一線があるわけではない。ここは個人の好みや食文化の違いによるものだろう。お好みの焼き加減で。

 

徳島に伝わる最上級のおもてなし料理「ひらら焼き」

「ひらら焼き」とは、石の上に味噌で土手をつくり、アメゴや豆腐、野菜、こんにゃくなどを入れて香ばしく焼いた大胆な料理。今、外国人旅行者が、コレを食べに、はるばる徳島を訪れるほどの人気になっているというので驚きだ。

「ひらら」とは「平たい石」の意で、たとえるなら、「味噌ホットプレート」。具材から出る旨味と味噌の香ばしい風味が食欲を誘う一品。現在では、キャンプや団らん料理としてまかなわれることが多いが、地元のレストランでも楽しむことができる。

「ひらら焼き」を後世に残していこうと活動している「ひらら焼 保存会」の山口由紀子さんは、「昔は味噌が貴重だったので、こんなにたくさんの味噌を使う『ひらら焼き』は、最上級のおもてなし料理でした。味噌も具材も決まりはなく、お好みで楽しめるのも、魅力の一つです」。と話す。
※写真提供 三好市

 

ポストおやつの座を取り戻したい!味噌おにぎり

今のようにいろんなお菓子がなかった時代、「味噌おにぎり」がおやつだったという人は多い。味噌おにぎりは、特に東日本でよく食べられているそうだ。炊き立てごはんを握り味噌を塗るだけで、格別のおいしさ。さっと焼けば、さらに香ばしさアップ!

 

厳冬の地で育まれた飛騨の味「朴葉味噌」

朴葉の上に味噌をのせて焼いて食べる「朴葉味噌」は、飛騨地方を代表する郷土料理。朴葉と焼き味噌の香りが食材の味を引き立て、ごはんがぐんぐん進む一品。朴葉は、昔からお皿やお鍋の代わりに使われてきた。厳寒の飛騨の冬、人々は漬物樽の中で凍った漬物を囲炉裏で炙って食べていて、その漬物に味噌を混ぜるとおいしくなることから、朴葉味噌に発展したそうだ。最近では、味噌に野菜や肉などを混ぜて食べるのが定番。自宅では、フライパンやホットプレートでもOK!

 

上州名物「焼きまんじゅう」

江戸時代から庶民に親しまれてきた群馬県の上州名物といえば「焼きまんじゅう」。小麦を練り合わせ発酵させてつくったまんじゅうを串に刺し、甘い味噌ダレを裏表に塗ってこんがり焼いたもの。祭りやイベントではおなじみの存在で、上州人のソウルフードともいえる代表的な郷土料理。スタンダードな焼きまんじゅうは、直径約7 〜8 cmで串に4 個。大きいので上品に食べることはできない。豪快にかぶりついていただこう!

 

江戸庶民のファストフードとして人気を博した「味噌田楽」

豆腐やこんにゃく、なす、里芋などに、甘く仕立てたみそをつけていただく「田楽」は、全国各地にさまざまな種類が存在する。ルーツは、田の神を祀るために田の畔で笛や太鼓の伴奏で歌い舞った「田楽舞い(田楽踊り)」にある。下に白袴、上に色のついたものを着て、「高足」という一本足の竹馬のようなものに乗り踊る「田楽法師」の姿が、豆腐の串焼きに似ていたことから、「田楽」という名がついた。写真の「高森田楽」は、阿蘇特産の「つるの子いも」をはじめ、豆腐、こんにゃく、ヤマメなど、さまざまな食材を串にさし、囲炉裏で焼く熊本の郷土料理。山椒味噌、ゆず味噌などを塗って食べるのがお決まりだ。

 

NHK連続テレビ小説で一躍“時の味噌料理”に五平餅

NHK連続テレビ小説「半分、青い。」に登場したことから話題となった「五平餅」は、お米をつぶしたものを串に巻きつけ、味噌や醤油ベースのタレをつけて焼いたもの。主に、愛知や長野、岐阜などでよく食べられてきた郷土食で地元では古くから愛されている。

五平さんという人物が、握ったごはんに味噌をつけて焼いて食べたことから名付けられたという説、神事に使われる御幣に似ているからという説など、語源は諸説あり。おにぎり型やきりたんぽ型、わらじ型などさまざまな形があり、タレも地域により千差万別。

 

「BAKED MISO」を楽しむなら「がらり 千駄ヶ谷店」

JR原宿駅より徒歩8分、「黒糖焼酎と味噌」が専門の和食居酒屋「がらり」。木の温もりのある落ち着いた店内で、ゆったりとした時間を過ごせるとあり、リピーターが多く訪れる人気店だ。全国選りすぐりの味噌13 種を使用した料理を肴に、奄美諸島より取り寄せた150種の黒糖焼酎を楽しめる。

こんがり焼いた味噌メニューも多数あるが、一番人気は、ボリューム感たっぷりの「がらり味噌つくね」。豚と鶏のつくねと、香ばしいねぎ味噌の相性が抜群だ。そのほか、焼おにぎりや、しゃもじにのせた「誉め味噌」などさまざまある。味噌ファンは、要チェック!

【がらり 千駄ヶ谷店】
東京都渋谷区千駄ヶ谷2-6-4 TEL03-5786-1820

参考文献:『武士のメシ』(発行/宝島社、著者/永山久夫)、『おいしさをつくる「熱」の科学』(発行/柴田書店、著者/佐藤 秀美)、『火の賜物 ヒトは料理で進化した』(発行/NTT出版、著者/リチャード・ランガム)、『みそ文化誌』(発行/全国味噌工業協同組合連合会)

ABOUTこの記事をかいた人

藤本智子

【MISODO(藤本智子)】株式会社ミソド代表取締役、一般社団法人みそまる普及委員会理事、月刊「ジャパン味噌プレス」編集長、みそソムリエ。アパレル販売員、読者モデル等を経て、2011年「ミソガール」として味噌の普及活動を開始。みそまる考案。ミラノ万博や伊勢志摩サミット等イベントやメディア出演を通し、味噌の魅力を伝えている(2019年MISODOに改名)。著書に『みそまる』(宝島社)、『みそまる 作りおきみそ汁83のレシピ&アイデア』(二見書房)、『手軽に作れて、キレイに効く! みそまる』(主婦と生活社)等。